自分から他人へ(自動詞と他動詞の話)

こんばんは、井手です。
天気のせいでしょうか、外はいつもに増して閑散と静かな感じがしました。生徒たちには手洗いマスクの徹底と、無理な通塾は控えること、接触を避けることなどを言い続けていくのみです。

今年も授業の内容で扱ったことをブログにしていきたいと思います。是非、生徒たちは復習のために、またさらなる発展へとつながるヒントも織り交ぜていくので見ておくことをすすめます。

今回は、自動詞と他動詞の「気持ち」の話です。
その前に日本語で次の文を考えましょう。
①事故が起こる ②事故を起こす
どちらが「自分で勝手にそうなっている」感じがしますか?どちらが「対象に力をぶつけている」感じがしますか? こういうことですね、①「事故が起こる」が「事故が勝手に起こる感じ」、②「事故を起こす」が「人が事故に『起こす』という力をぶつけている感じ」がしますよね。もう1つ見てみましょう。
①ドアが開く ②ドアを開ける
①が「ドアがひとりでに開いていく」感じがする一方で、②は「人がドアに力をかけ、ドアを開けていく」感じがしますよね。どちらも物理的には「人がドアを操作して、ドアが開く」という状況に変わりはないのですが、それを話者がどう見ているかで異なってきます。英語の授業で、「自動詞」「他動詞」という話は必ず聞きます。一般的な説明の仕方だと、「後ろに目的語がないから自動詞」で「後ろに目的語があるから他動詞」というものです。
しかし、そういう「表面的な形、パターンでの判別」はわかりにくいだけで、「で?だから何?」という気持ちしか呼び起こさないものです。つまり、「動詞の気持ちがわからない」状態になっているだけなのです。
では、そうならないためにも次のことを感じ取ってください。
動詞とは主語から出る「力」である。
自動詞:自分が自分でやっていく動き。主語から出る力が主語自身にしか作用しない。
他動詞:自分から出た力を他者にぶつけていく動き。主語から出る力がぶつかる「他者」が目的語。
”ドア”の例を英語で見ると、
①The door opened.「ドアが開いた」
②I opened the door.「私はドアを開けた」
①の文では、主語 the door から出た動詞 open の力が主語である the door 自身にぶつかっています。だから「ドアがひとりでに開いた」感じがします。自分から出た力が自分自身にぶつかって作用するので、この opened は「自動詞」と呼びます。
②の文では、主語 I から出ている動詞 open の力が他者である the door にぶつかっています。だから「私の力でドアが開いた」感じがします。自分から出た力が他者にぶつかって作用するので、この opened は「他動詞」と呼びます。そして、動詞の力がぶつかる the door が目的語です。
このように、動詞を「力の方向」として捉えることで「動詞の気持ち」がわかるようになって意味の解釈がスムーズになります。動詞を直感的に理解するには動詞の気持ちを理解することが大切です。是非、この「力の方向」感覚を身に付けましょう!