別れ

今晩は山本です。
長らく使っていたスマホが壊れました。

私に使われた彼の人生は不遇の連続でした。
ハイスペックであるにもかかわらず彼はその生涯のほとんどを
通話や動画視聴といった彼の能力に見合わない仕事に捧げました。
それは、語学に堪能で多数の資格を持った人物が雑用だけで
生涯を終えるような無念さが彼の胸中にあったのではないかと思います。

床に落とされ、岩の上に落とされ、顔面は傷だらけ・・・
そして去年、ズボラな持ち主が釣りから帰る途中、岩からジャンプした拍子に
彼はポケットから飛び出し海の中へ・・・
12月の冷たい波が打ち寄せる中、手探りの救出は困難を極め、
数分後に発見されたとき状況は絶望的でした。
真水で洗いタオルで拭いている間、私はスマホに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
「横着をしてすまん。心を入れ替えて大事に扱うから起動してくれ!」
そんな私の心からの謝罪を受け入れてくれたのか、彼は静かに待ち受け画面を表示しました。

しかし、中に海水が残っていたのか充電がうまくできません。
その上、使用中に異常な発熱をたびたび繰り返すようになり、
ついに先日、自ら食を断つように充電を拒否しました。

彼の能力を引き出してあげられなかったことは悔やまれますが、
長きにわたり美しいものや奇妙なものなど実に様々なものを共に見られたことはよかったと思います。

彼とは面白い旅ができたと今振り返って思い、喪失感を禁じえません。