霊道

今晩は山本です。
私の家は夏場は近くの果樹園のガス鉄砲の音が響き渡り
鳥や虫の鳴き声で喧騒に包まれています。
ところが冬になると時間が止まったように静かです。
数少ない隣人の咳き込む音が聞こえるほど静寂です。
しかも日当たりが悪いので昼間でも寂しく感じます。

先月、地元の人から怖い話を聞きました。
その人が知っているだけでも8人が近くの淵で溺死したというのです。
しかも、私の家のすぐそばには戦時中の無理な工事で亡くなった方々の霊を鎮めるための祠があり、
集落の入り口にある祠と向き合っていて霊道になっているらしいのです。
そのせいか、何かの気配を感じることがあります。
猫達が一斉に一点を見つめている時はビビります。
でも、寂しく感じるだけで悪いことが起こるわけではありません。
家族全員がこの土地に対し所有物と認識しておらず、
「しばらくの間住まわせてもらっている。」と謙虚にいたのが良かったのかもしれません。

先週の日曜日、義父の遺品を妻が持って帰りました。
その中には義父の弟や母の遺影や位牌がありました。
しかもとても古そうな市松人形もあります。
人が大好きな義父だったので、霊同士話に花が咲いているかもしれません。
この家は霊の目抜き通りなので退屈はしないでしょう。
遺品が来て以来あまり寂しく感じなくなったのは不思議です。