男子会

今日は山本です。
私には帰宅後、毎晩決まってやることがあります。
それは男子会。
寝静まった家族を起こさぬよう晩御飯を見繕ってお盆に載せ、自室に運び窓を開けます。
床に置いた皿に料理を盛り付けるとその音を合図に闇の中から二匹のお客が・・・
没落貴族の「ペロリンゲン男爵」、もはや巨漢となり名前がちぐはぐとなった「チビ子」の両君です。
男爵は我が家に来た当初から紳士でしたが野良出身のチビ子は隙あらばメインディッシュを奪い去る盗賊でした。
そんなチビ子も我が家で毎日食事をもらううちに「奪わなくてもいい。」とわかってきたようで、私が自室を離れてもメインディッシュが消え去ることはなくなりました。
猫ですら衣食足りれば礼節を知ります。
いつぞやは黒猫のマオマオが脱走したとき、両君がマオマオを隘路に追い込んでくれたため事なきを得ました。
自分勝手な振る舞いをする猫ですが、恩義を感じているようです。

この仕事で駆け出しの頃、どのように生徒達と接するかで悩んだことがあります。
そんなときNHKの教育テレビで長年「ノッポさん」として親しまれた高見嘉明さんのお話をたまたま付けたテレビで聞く機会を得ました。
「できるかな」のノッポさんにはセリフがなく身振り手振りだったので、私にとってノッポさんの初めて聞く肉声でした。
そのお話の中で高見さんが信条を語っておられました。
それは「幼い子供だからと言って侮らず、大人と接するように誠実に向き合えば必ず心が通じる。」ということでした。
ノッポさんにはセリフがなかったけれど表情豊かで、幼い私にも彼の喜怒哀楽が瞬時に理解できました。
それはブラウン管越しに見てくれている子供一人一人に、高見さんが真摯に向き合い全身全霊を傾けて演じて下さったからだと納得しました。
子供たちが夢中になるはずです。
我が意を得たりと感銘し、以来それに習っています。