電話の思い出

今日は山本です。
私のスマホが風前の灯火となって参りました。
写真一枚撮っただけで充電が切れます。
もはや固定電話と大差がありません。

本体と液晶画面の間に隙間ができ、中から光が漏れています。
充電器につながれたまま稼働するその姿は、人間なら点滴を打ちながら働くようなものでしょう。
かわいそうですがもうしばらく頑張ってほしいと思います。

私が小学生の時、家にはダイヤル式の黒電話が一台あるだけで、友人に連絡したければ祖父の許しを得なければいけませんでした。
しかし、なかなか許可が下りません。
「今、先方は晩御飯の準備で忙しいだろうからかけちゃいかん。」
「晩御飯を食べている最中だろうからかけちゃいかん。」
「後片付けをしたり風呂に入る時間だろうからかけちゃいかん。」
結局次の日に本人に直接伝えることが多かったように思います。
そんな祖父に育てられたので、私は殆ど電話を使いません。

携帯電話が普及したばかりの頃の話です。
仕事を終え、そろそろ帰ろうとした時、私の携帯が鳴りました。
「かおりちゃ~ん♡」
「いえ、山本です。」
「かおりちゃんの携帯じゃないん~!」
甘い期待を裏切られ失望した彼は謝罪することなく電話を切りました。
私は携帯を握りしめたまましばらく固まっていました。
この男性はかおりちゃんにしつこく番号を聞き出そうとし、
窮したかおりちゃんはでたらめの番号を教えたのでしょう。
個人と個人をつなぐのが当たり前のこの時代・・・
私は武骨なじいちゃんを象徴するかのような黒電話が懐かしいです。