嫌な思い出

今晩は山本です。
私が小学4年生だった5月の話です。
家の近くに養鰻場があり、その横を流れる用水路には大きな鮒がたくさんいて私のお気に入りの釣り場でした。
ある日、いつものように鮒を釣っているとウナギを見つけました。
一匹だけかと思っていましたが、よく見るとトタンの下に何匹もいます。
「瓜田に履を納れず。」なんて故事を知らない歳です。
私はウナギを手づかみで捕まえ、嬉々として家に飛んで帰りました。
その様子を見た人がいたのでしょう。
その晩、養鰻場のおじさんが怒鳴り込んできました。
私は知らなかったのですが、そのころたびたびウナギが盗まれていたそうで、私が疑われてしまったのです。
おじさんは、私がウナギ泥棒と決めつけて声を荒げていましたが、祖父や父は私の言葉を信じ、守ってくれました。
私は、おじさんが帰った後も悔しさで涙が止まりませんでした。

その後、犯人が捕まり、私の疑いは晴れましたが、そのおじさんは私に一言も謝ってくれませんでした。
今なら疑われるようなことをした自分にも落ち度があると思えるのですが、謝ってくれなかったことがよっぽど悔しかったのでしょうこの歳になっても忘れられません。
この一件があったので、私は生徒に対してよっぽどのことがない限りは疑ったり、叱ったりしないようにしています。
でも、心に余裕がないときはどうしても疑いの目で見てしまいそうになります。
そんなときにはウナギ泥棒にされかかった時の悔しさを思い出し、自分を戒めるのです。
できれば味わいたくない苦い思い出ですが、無駄な経験なんてないんですね。